何とはなしに手に取った『ギンイロノウタ』がよくて、村田沙耶香強化月間のようになってしまった11月、『コンビニ人間』『地球星人』は既読のため、残すは『マウス』『ハコブネ』『タダイマトビラ』に最新刊『生命式』のみになった。概して初期のちょっと異様な少女視点のものがいい感じ。いちばん好きだったのは『しろいろの街の、その骨の体温の』で、これは三島賞。『ギンイロノウタ』が野間文芸新人賞で、こうきれいにいい作品で賞がとれているのも珍しい。
『パーク・ライフ』は芥川賞受賞の表題作よりも「flowers」が妙によく、印象に残った。元旦の人物造形がよくないか。純文学出身の作家が初期に書く、芥川賞受賞前後(とろうがとるまいが、そういう時期)の中編が好みなのかもしれない。中堅より後になると不思議とそういうものは書かなく、ないしは書けなくなるように見える。
・この名作がわからない 小谷野敦、小池昌代●
・パーク・ライフ 吉田修一
・美しい夏 チェーザレ・パヴェーゼ(河島英昭)▲
・大学教授のように小説を読む方法[増補新版] トーマス・C・フォスター(矢倉尚子)●
・愛という名の支配 田嶋陽子●
・ダイヤモンド広場 マルセー・ルドゥレダ(田澤耕)●
・デッドライン 千葉雅也
・ギンイロノウタ 村田沙耶香●
・授乳 村田沙耶香
・星が吸う水 村田沙耶香
・しろいろの街の、その骨の体温の 村田沙耶香●
・殺人出産 村田沙耶香
・消滅世界 村田沙耶香
・エスタブリッシュメント 彼らはこうして富と権力を独占する オーウェン・ジョーンズ(依田卓巳)●
・犬婿入り 多和田葉子●
・かかとを失くして/三人関係/文字移植 多和田葉子