今月読んだ中では『こちらあみ子』がすごかった。おかげで今村夏子を集中的に読んでしまった。これは太宰賞をとった今村のデビュー作で、三島賞ももらっている。文藝春秋もこれで芥川賞をあげていればよかったのだが、太宰賞受賞作が芥川賞候補にピックアップされるようになったのは岩城けい『さようなら、オレンジ』から。その後『むらさきのスカートの女』で芥川賞をとるまで、『あひる』『星の子』が候補になっている。『星の子』はあれだけど、『あひる』にはあみ子と合わせ技であげてもよかったんじゃないの、と思う。『あひる』では短いと言われ、長く書いた『星の子』は冗長と言われ、どうしろと? というところで受賞が決まってよかった。
・あのこは貴族 山内マリコ(※再読)
・スクラップアンドビルド 羽田圭介
・三つの物語 ギュスターヴ・フローベール(谷口亜沙子)●
・あひる 今村夏子●
・三つ編み レティシア・コロンバニ(齋藤可津子)
・星へ落ちる 金原ひとみ
・青い麦 シドニー=ガブリエル・コレット(河野万里子)
・蛇にピアス 金原ひとみ
・こちらあみ子 今村夏子●
・沖で待つ 絲山秋子
・フランケンシュタイン メアリー・シェリー(芹澤恵)
・眠れる美女 川端康成●
・星の子 今村夏子
・サイモンvs人類平等化計画 ベッキー・アルバータリ(三辺律子)
・外套/鼻 ニコライ・ゴーゴリ(平井肇)●